私が持っていたゲストハウスのイメージというのは、
- 外国人が多い
- 知らない人と相部屋
- フリースペースでみんなと和気藹々
というようなもの。
初めての一人旅で、なんだか気を使って疲れそうな、そんな環境は避けたかったのだが、なんてたって安いのがとんでもなく魅力的。
小樽に到着した、初めの宿をどこにしようかと悩んだ私だったが、フェリーが港に到着するのが20時45分の予定。
フェリーが予定通りに到着したとしても、寝るだけになるのは間違いない。
できるだけ安く抑えたいと思って色々と調べてみた結果、ゲストハウスというものに行き着いたのである。
だって、3000円くらいで泊まれるって魅力的。
最初は、おしゃれな感じのゲストハウスを予約しようとしたのだが、オーナーさんのコメントや口コミを読んでみると、雰囲気がとっても若い。
若者が集うようなゲストハウスに、私のような中年女がひょっこり現れて場の空気が凍りついたら耐えられないと思ったので、中年女が泊まっても違和感がないようなゲストハウスはないものかと探したら、あった。
40代とか50代とかの口コミが多めのゲストハウス( ̄Д ̄)ノ
まぁ、寝るだけだし、大丈夫だろうと思って予約してみた。
小樽港に着いた後、タクシーでそのゲストハウスに向かったのだが、ゲストハウスというものも初めてならネット予約というものも初めてだったので、ちゃんと予約できているのか、ものすごいドキドキしてしまった。
そんな私をおかみさんは優しく迎えてくれたが、完全に挙動不審。ソワソワが止まらない!
すぐに女性専用の部屋に案内してくれたのだが、先に到着していた他の女性が、ベットのカーテンをして就寝している模様。
部屋には2段ベットが二つあり、その日の女性のお客は、私とその人の二人だけということもおかみさんが説明してくれた。
うるさくしてはいけないと思い、(節約のために)途中でコンビニで買ってきたご飯は共同スペースで食べることにした。
そこにではすでに、20代と思われる男子が食事をしていたのだが、若い人もいるのね・・・なんて思いながら軽く頭を下げて、少し離れた場所で私も食事。
さっさと食べて、さっさと寝て、明日に備えよう!と思いながらコンビニ飯を掻き込んでいると、どこからともなく、部屋中にいい匂いが漂ってきた。
?
すると、そのゲストハウスの人なのか、おかみさんの親戚なのか、よく分からない男性が現れて「かきが焼けたよ!そこのお兄さんもおねえさん(私のこと)も、こっちで食べよう!!」と、誘ってくる。
おかみさんも「あなたたち、いい時に来たわよ」なんて言いながら、どんどん私とその若者を外のバルコニーへと誘導。
するとそこには、炭を起して牡蠣やら蟹を焼いているではないか!( ゚д゚)
言われるがまま、若者と私がそこに座ると、「さぁ、どうぞ!!食べて!!」と、さらに食材を足していく。
しかも、カニは花咲ガニという種類。
え?九州民なんでカニなんて何年も前に食したのが最後だと思うし、あんまり詳しく知らないのだが、高級食材なんでは?
うっかり口にして、後で食事代を請求されたらどうしよう?ひょっとしてぼったくりゲストハウスに当たってしまったんじゃ・・・?なんて思ってしまい、中々手を出せないでいると、目の前の若者は「本当に頂いてもいいんですか?ありがとうございます。」なんて言いながらカニをむしり始めるではないか。
ゲストハウスの人も「ほらほら、おねえさんも食べて!!」なんて言うものだから、私も覚悟を決めてカニをむしり始めた。
(たぶん)初めて食べるであろう花咲ガニは、なんだこれって言うくらい、おいしぃぃぃ〜〜〜!!( ;∀;)
味は間違いなく美味しい!
が、やっぱり何なの?この状況??といった感じ。
初対面の中年女と若い男子が、向き合ってカニをむしっている・・・。
しかも!!これがゲストハウスってものなのね・・・なんて思いながら食べていると、ゲストハウスの人は何かの用事ができたようで、出ていってしまったではないか!!
こんな中年女と二人きりでカニを食べなきゃいけなくなった、若い男子が可哀想である。
「何か喋らないと」と、思うのは私もその若者も同じだったようで、ポツポツとこのゲストハウスにたどり着いた経緯を話してくれた。
その若者は千葉の大学生で、今は休学をして自転車で北海道を回っているそうな。
すごい!思春って感じ( ゚д゚)
本当なら、ライダー専門のようなゲストハウスに泊まる予定だったらしいが、そこがいっぱいで急遽私と同じゲストハウスに辿り着いたらしい。
「それが、まさかこんなご馳走が食べられるなんて・・・」
「そうですよね。私もゲストハウスって初めてなんですけど、まさかカニが食べられるなんて思っていませんでした」
とか何とか、話しているうちにだんだんと本音が出てくる二人。
「カニとか牡蠣とかが出てくると思っていなかったんで、さっきどんぶり飯を思いっきり食べちゃったんですよね・・・」
「美味しいんだけど、実はお腹いっぱい・・・」
「今日は早く寝て、明日に備えようと思っていたのに・・・」
「実は私も・・・」
最初は頑張って二人で食べてしまおうと話してたのだが、なんせ量が多すぎる!!ギブアップ!!
だってネットで見た時は、夜ご飯が出てくるなんて載ってなかったし!!
網に乗った牡蠣を前に「これどうしましょうか?流石にほったらかしにはできないですよね・・・」と言う、困り顔の若者であったが、ここはやっぱり中年女の出番であった。
中にいるおかみさんを探し出し、「すみません、もうお腹いっぱいで食べられないんですけど・・・」と謝る。
すると他のスタッフの人も出てきてくれて、簡単に片付けてお開きとなった。(最初に誘ってくれたスタッフの人(?)は現れないまま!)
二人並んで、カニでべちょべよになった手を洗っていると、若者が「カニの匂いは爪の間につくらしいですよ」と教えてくれた。
そこには、一緒にひと仕事終えたような不思議な一体感が。(気のせいか?)
私は、若い男子から怖がられるという自覚があるのだが、この若者にはそういう雰囲気が見られない。→職場の若者に避けられがちな中年の本音
初対面の中年女にも、終始穏やかに、笑顔で接してくれた。
なんて、いい人!!!( ;∀;)
最後は「気をつけて。お互いにいい旅を。」と言ってお別れしたのだが、ひょっとして、こういうのがゲストハウスの醍醐味というものなのかもしれない。
が、夜遅くまで若い男子とカニを食べたので、併設されている銭湯にゆっくり浸かる時間がなくなった私の顔は、次の朝、むくみでパンパンに膨れ上がっていた。
笑顔で「ゆっくり眠れた?」と聞いてくるおかみさんに、一応笑って「はい」と答えた私であるが、ゆっくり眠れていない顔だったことは明白。
3,300円で止まれたし、花咲ガニも食べられたが、中年女がゲストハウスに泊まるには、体力が必要だと思った、えみ子さんなのであった。
ではでは。続く。
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